宗教が犯罪を引き起こす仕組みの考察
世界には、いろいろな宗教があります。
トラブルに巻き込まれないためにも、外国の宗教について知っておいた方が良いでしょう。
難しい話を考えるときは齟齬を回避するために、言葉の定義を1つずつ丁寧に確認しながら進めましょう。
宗教とは?
そもそも、宗教とは何でしょうか?
宗教(しゅうきょう、(英: religion)とは、一般に、人間の力や自然の力を超えた存在への信仰を主体とする思想体系、観念体系であり、また、その体系にもとづく教義、行事、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団のことである。
多くの宗教に含まれる要素は、神性、聖なるもの、信仰、超自然的な存在、「残りの人生に規範と力を与えてくれる、ある種の究極・超越なもの」などのうち、様々な範囲がある。
宗教とは、人間の精神的活動の一種であることには間違いないでしょう。
(動物には宗教がないので)
アフガニスタンを支配するタリバンとは?
さて、アフガニスタンではタリバンというイスラム教の団体が武器を持って内紛をやってます。
アフガニスタン(ダリー語: افغانستان、パシュトー語: افغانستان、英語: Afghanistan)は、中央アジアと南アジアの交差点に位置する山岳地帯の内陸国である。
東と南にパキスタン、西にイラン、北にトルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、北東に中国と国境を接している。
面積は65万2,000平方キロメートルで、北部と南西部に平野部がある山岳国である。
首都は人口最大の都市のカーブルである。
人口は約3,900万人で、そのほとんどがパシュトゥーン人、タジク人、ハザーラ人、ウズベク人などの民族である。
2021年までの正式国名はアフガニスタン・イスラム共和国(アフガニスタン・イスラムきょうわこく、ダリー語: جمهوری اسلامی افغانستان、パシュトー語: د افغانستان اسلامي جمهوريت、英語: Islamic Republic of Afghanistan)であったが、この国号を使用した政府は同年8月15日にターリバーンの攻勢によって事実上崩壊した。
同年8月19日、ターリバーンのスポークスマン、ザビフラ・ムジャヒドはTwitterでアフガニスタン・イスラム首長国(アフガニスタン・イスラムしゅちょうこく、パシュトー語: د افغانستان إسلامي امارت、英語: Islamic Emirate of Afghanistan)が成立することを宣言した。
ターリバーン、タリバーン、タリバン(パシュトー語: طالبان、Ṭālibān、英語: TalibanまたはTaleban、「学生たち」または「求道者」の意)とは、アフガニスタンで活動するイスラム教スンナ派(多数派)諸派デオバンド派のイスラム主義組織である。
指導部はパキスタンのカラチやカイバル・パクトゥンクワ州のデオバンド派マドラサで宗教教育を受けたパシュトゥーン人が多数を占める。
アフガニスタンに駐屯していたアメリカ軍が撤退すると、タリバンは首都カブール(カーブル)に侵攻して、アフガニスタンの政権を奪取しました。
タリバンは、自分たちに従わない人々を銃殺しています。
殺される人にも生きる権利はあります。
イスラム教徒ではない日本人の感覚からすると、タリバンは酷い連中ですね?
ジハード(聖戦)とは?
でも、どうしてタリバンは平気で殺人ができるのでしょうか?
日本人には納得できないとしても、彼らなりの理屈があるはずです。
イスラム教が殺人を肯定する理屈を理解しておくべきでしょう。
イスラム教(イスラムきょう)、イスラーム教、イスラームは、唯一絶対の神を信仰し、神が最後の預言者を通じて人々に下した(啓示した)とされるクルアーンの教えを信じ、従う一神教である。漢字圏においては回教(かいきょう)または回々教(フイフイきょう)と呼ばれる。
ユダヤ教やキリスト教の影響を受けた一神教で、偶像崇拝を徹底的に排除し、神への奉仕を重んじ、信徒同士の相互扶助関係や一体感を重んじる点に大きな特色があるとされる。アッラーを崇拝する一神教である。
ジハード(جهاد jihād)は、アラビア語の語根 جهد(J-H-D、努力する)から派生した動詞جاهد(ジャーハダ、自己犠牲して戦う)の動名詞で、「違うベクトルの力の拮抗」を意味するが、一般的にイスラームの文脈では「宗教のために努力する、戦う」ことを意味する。「大ジハード」と「小ジハード」がある。
「大ジハード」(内へのジハード)は個人の信仰を深める内面的努力を指す一方、「小ジハード」(外へのジハード)は異教徒に対しての戦いを指すため、一般的に「ジハード」というと後者を指す。イスラム法学上の「ジハード」は、「イスラムのための異教徒との戦闘」と定義される。しばしば「聖戦」と和訳されるが、ジハードという語には「聖」の意味はないため、正確ではない。
聖戦(せいせん)とは、宗教的に神聖とみなされる、正義のための戦争を意味する語である。
正義(せいぎ、英: justice、仏: justice、独: Gerechtigkeit、羅: jūstitia、希: δικαιοσύνη)は、明治以降「義」に代わって使用され、倫理、合理性、法律、自然法、宗教、公正などに基づく道徳的な正しさに関する概念である。対義語は「不義」。
正義の実質的な内容を探究する学問分野は正義論と呼ばれる。広義すなわち日本語の日常的な意味においては、道理に適った正しいこと全般を意味する。
この「正義」という考え方が、人によって少しずつ違うので、意見の相違を生み出します。その結果、大きく違った場合は、争いを招きますね。
宗教=究極のエゴ
- 正義に基づいた聖戦。
- イスラム教の正義を実現するためのジハード。
宗教は、戦争を生み出し、殺人を実行する仕組みを内包しているのです。
その結果、タリバンは自分たちに従わない者を「正義」の名の下に殺すのです。
これは、タリバンだけでなく、他の宗教も同じです。
宗教とは、結局のところ、「究極のエゴ」と言えるでしょう。
「自分が正しい」「自分が正義」という感覚にとらわれた人間は、「間違っている他人」「不義をなす他人」を殺しても構わないという傲慢さを持ってしまうのです。
共存の模索
しかし、アフガニスタンの中にも、それではいけない、と考える人もいるようです。
1843マガジン(英国)
Text by Obaibullah Baheer
欧米を憎み、ジハード戦士を夢見た
私は、ジハード主義を称えるアフガニスタンと、進歩主義的なアフガニスタンという、二つのアフガニスタンを行ったり来たりする人生を送ってきた。そして今、二つの世界は真正面から対峙している。その結果がどうなるかは、誰にもわからない。
「西洋かぶれ」と後ろ指をさされても
2018年、私はアフガニスタンに戻り、大学で平和学を教える仕事に就いた。また、病院建設などの開発プロジェクトについて、政府に助言する仕事も得た。そのときまでに祖父もアフガニスタンに戻っていた。アメリカが支援するアフガニスタン政府と和解して、タリバンと交渉して紛争に終止符を打つことを唱えた。
残された道は共生しかない
ここ数日は大混乱だった。私の家族は、サラフィー主義と反帝国主義を深く信奉しているが、私自身はタリバンに会ったことは一度もなかった。カブールが陥落した8月15日に、街の通りでメンバーに話しかけたときが初めてだ。タリバンと同じように厳格なイスラムを守るために戦ってきた一族の出身でも、私はメディアにも顔を出している学者として、標的になるかもしれないと脅された。
それでも私はアフガニスタンにとどまっている。二つのアフガニスタンの要求と不安をお互いに伝えることができると思うからだ。少なくとも私は、タリバンが使う言葉を理解している。「イスラムの敵の侵入を防げますように」という祈りの言葉で始まる会話に応じる方法を知っている。
何人かの友人は、身を隠すことにした。国外に逃れた友達もいる。私はタリバンがカブール入りした直後、知り合いの女性議員に外国に避難するよう勧めた。別の女性政治家は15日夜、限られた飛行機のスペースを求めて人々が殺到し、ガラスが割られ、銃声が響くカブール空港から、どうにか国外に脱出した。
アフガニスタンを出た友人との会話は白熱しがちだ。タリバンは驚くほど静かで、一般市民には丁寧な態度をとっていると私が言うと、現実を美化していると反論される。
私は、自分に与えられた役割を果たさなくてはならないと感じている。良かれ悪しかれ、私と同じようにジハードを賛美する環境で育ったタリバンも、現在の私が共に暮らし、教えている進歩主義的なアフガニスタン人も、お互いと共生することを学ばなければならないのだから。
イスラム教の人々が、争いをやめて、平和に共存できる日が来ると良いですね。
唯一神という幻想
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、同じ神を信仰する宗教です。
(各宗教で神の呼び名は違いますが、唯一神という点は同じです。)
唯一神を信仰するユダヤ教とキリスト教とイスラム教をまとめて、「セム教」という呼び方があります。
Semitism may refer to:
- Semitism (linguistics), a grammatical or syntactical behaviour in a language which reveals that the influence of a Semitic language is present
- Judaism
- Philo-Semitism
- Semitic people
アブラハムの宗教(アブラハムのしゅうきょう、英語:Abrahamic religions) とは、聖書の預言者アブラハムの神を受け継ぐと称するユダヤ教、キリスト教、イスラム教(イスラーム)の三宗教。初期のイスラームはこの概念によって、先行するユダヤ教・キリスト教とイスラームは立場が同じであることを強調した。「セム族の啓示宗教」、あるいは単に「啓示宗教」と称されることがある。
比較宗教学の観点ではインド宗教(Dharmic、Indian religions)、東アジア宗教(Taoic、East Asian religions)と並ぶ三分類の一つに位置付けられる。
一神教(いっしんきょう、monotheism)とは、ただひとつの神的存在者のみを認めてこれを信仰する宗教。
創造神(そうぞうしん)とは、創造神話、あるいは宗教の教義で、その意志もしくは働きにより世界または宇宙、あるいは生命や人間を創造したとされる神、あるいはその創造を神格化した想像上の概念。
創世神(そうせいしん)、造化の神(ぞうかのかみ)などともいう。
特に一神教では創造主(そうぞうしゅ)、造物主(ぞうぶつしゅ)ともいう。
セム教の世界観~現実のとらえ方は、正しい部分もあれば間違っている部分もあります。
どこが間違っているのでしょうか?
それは、「自分」と呼んでいる存在の本質を誤解している点です。
現代では、科学(=現実の観察)の発展により、
- 「神が世界を創造した」
- 「神が人間を作った」
という考え方は、間違っていることが分かります。
(詳細な説明は長くなるので、別記事に書きたいと思います。)
セム教が「異端」(間違った考え方)として排除した「グノーシス主義」と比較すればよく分かります。
グノーシス主義(グノーシスしゅぎ、独: Gnostizismus、英: Gnosticism)またはグノーシス(希: Γνῶσις)は、1世紀に生まれ、3世紀から4世紀にかけて地中海世界で勢力を持った宗教・思想である。
グノーシスは、古代ギリシア語で「認識・知識」を意味し、自己の本質と真の神についての認識に到達することを求める思想である。物質と霊の二元論に特徴がある。
グノーシス主義は、地中海世界を中心とするもの以外に、イランやメソポタミアに本拠を置くものがあり、ヘレニズムによる東西文化のシンクレティズムの中から形成されたと見られる。
グノーシスの考え方では、人間は神に近付き、神と一体化する=人間が神に戻る、という発想があります。
ここで、神と人間(自分)を比較して、相違点を検討してみると、次の2つの考え方に分類できます。
- 自分(人間)=神と同じ
- 自分(人間)=神とは違う
自分(人間)と神は、共通点があり、本質的には同じ存在であるという考え方の1つがグノーシスです。
自分=神の場合
グノーシスには、人間を進化(浄化)させる方法論があり、人間が進化できるものと考えます。
自分≠神の場合
セム教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は、神が人間を創造したと考えます。
すなわち、神と人間は別物、自分と神は別の存在だと考えています。
セム教には、人間が進化して、人間と神が同一化する発想=方法論がありません。人間は全知全能の存在にはなれないバカだという考え方が根底にあります。バカな人は、バカだからこそその考え方に馴染み、違和感を覚えないのでしょう。
これは、どちらかが正しくて、どちらかが間違っている、という二律背反の問題です。
結論から言うと、神という言葉の定義にもよりますが、「自分=神」が正解です。
つまり、万物の共通点~普遍性を検討するなら、全ての存在には共通点があるからです。
イスラム教徒は、人間とアッラーの共通点を知ることができるでしょうか?
ユダヤ教徒は、人間とヤハウェの共通点を知ることができるでしょうか?
一切嘘をつかないで、正確に神を観察するならば、誰もが理解できます。
イスラム教徒は、まず自分に嘘をつくことをやめた方が良いでしょう。
生命とは神が想像したものではなく、自分で自分を創造した存在なのです。
(この点については、詳細は別途解説したいと思います。)
イスラム教は多数の宗派があります。
元々は1つだった宗教が分裂していますが、本来は同じものだった=どれかが正しくて他は間違っている。もしくは全てが間違っている、と見るべきでしょう。
なぜなら、もともと1つだったものが正しいなら、時間を経ても1つしかないからです。
宗教の課題
宗教をやってる人は、なぜ多数の宗派に分裂したのか?1つの正解に収束しないのか?という理由について理解すべきでしょう。
人類が宗教の誤謬を訂正して、正しい1つの宗教~現実を正しく反映した真実の世界観を理解すれば、無駄な争いがなくなります。
人類の知性が発展して、宗教の正否を理解できるようになると良いですね。
我々日本人は、外国の宗教や文化をよく理解して、不用なトラブルを解決していきましょう。